このページの記事一覧

2011年3月16日水曜日

ねこねこソフト『White ~blanche comme la lune~』体験版2


 『グリザイアの果実』をプレイして、やっぱり萌えゲー(『鬼ごっこ!』、『Marguerite Sphere』等)よりも明らかにシリアスなストーリーのあったゲームが良いなと思って、以前体験版ver1をプレイした時に購入候補からはすっかり外してしまった『White』がまた気になりはじめていた。特にOP ver1.03が気に入って、買おうかどうしようか、でも前体験版やった時はアレだったしなあと悶々と。
 結論から言えば、とても惜しいけれど当初の予定通り購入は控えることになりそう。というか四月が激戦すぎるので控えろと自らに言い聞かせてる感じ。今回の体験版では東京到着後の様子が簡潔に描かれるがちょっと簡潔すぎて、個人的に前回気になったテキストの質という点の確認ができなかった。キャラクターたちはコミカルに動いていて、その点は文句なく面白い。カナンも取り繕うのは止めてはっちゃけはじめ、前回の体験版から随分印象が変わった。「ザギンでスーシー?」とか、キャラ崩壊しすぎだけどそれが良い。マリカとブリジットも東京に来て一層愉快になり、所謂シリアス前の日常パートでは不安要素がない。それらの描写は前回の体験版の不満点の一つだったキャラクターへの愛着というものを見事に水準以上のものにできたと感じる。しかし何というか、あと一歩を推す要素もない。攻略キャラの二人も登場しなかったし、作品の色が未だによくわからない上で手を出させる一押しが。『穢翼のユースティア』よりも後半がどうなるかというのが読めないし、『グリカジ』が豪華だったこともあり、フルプライス作品となるとその価値があるのかわからず躊躇せざるを得ない……でもなあ、ブリジットはすっげぇ可愛いんだよなあ。こんな金髪娘に「か、勘違いしないでよね!」とか言われるだけで胸熱になってしまう。そうやって、これもキャラゲーだと割り切れば『鬼ごっこ!』と『Marguerite Sphere』に並ぶが、それはより混迷を呼ぶことに他ならない。

2011年3月15日火曜日

Aile『relations sister×sister.』体験版

「relations sister×sister.」応援キャンペーンバナー
 何よりも先ず画が綺麗なのが良い。いきなりだけどゲームに関係ないことを書く。画が技術的に上手くなくても可愛く思える画というものは世の中にいくらかあるけれど、そういう画は個人的に褒めにくい。ホントは褒めたいけど、褒めることによってオレのセンスが疑われそう、みたいなビミョーすぎる気持ちがある。あくまで自分の考えだから違うって人も多いと思うけど、優れた画を描くには大きく分けて二つの技能が必要だと思っている。あんまり上手く言語で説明できないんだけど、まず一つは感覚が司るもので、経験とか体感という実践的な慣れみたいなことが一つ。スポーツでとにかく練習するようなモンで、どのように描けば良いかというコトに自分で気付いたりとか、そういうこと。もう一つは基本的なルールを学ぶことで、遠近法やら解剖学やらの技術的な面。これは勉強するのが面倒だしつまらないからなのか、割といい加減にされがちだと思う。でもスポーツでも効率的にスキルアップするためにはある程度の勉強が必要だよね。例えば人の顔を一定の方向でしか描けないという場合は顔面のパーツ配置がどのようになっているかというルールがわからないから描けないわけで、ルールを知っていればアオリ/フカンも抵抗なく描けるようになる。そしてこの二つの技能が相互作用して優れた画が生まれる。本作の原画を担当したかみやまねきはその両方が良く出来ている、と思う。尤も画は、陸上競技みたいにスコアが出るワケではないので受け取った側が主観的に優劣を判断するしかない。ついでに言ってしまえば、こうしてわざわざコトバで語る必要すらあるのかって思うコトもある。要するに本作に関して言えば公式サイト見て、画が気に入ったらそれで問題は解決する。
 さて内容はごく普通なエロゲーというか、特に突っ込みどころも褒めるところもない。敢えて無臭にしてるのかどうか疑う程だ。主人公はちょい普通以上に勤労意識があり自立心が備わっているのが美点の学生。ヒロインは個人的な好き嫌いはあれど定番を用意。親も当然のように旅行でいなくなるというテンプレ展開。このどっかで見たような要素に満たされながらも、ヒロインは程よく可愛い感じに仕上がっており、画は綺麗で、全面的に不満を感じないというのはAXL的と言おうか。より似た雰囲気のゲームは例えば『ToHeart2』や『ヨスガノソラ』で、こういうゲームはコメディでもシリアスでも思いきったことができないので、わかりやすいキャッチセールスが感じられない。それでも無難と言う以上にキャラクターは魅力的だし、文章も書けていると思う。最近やった他の体験版では設定を色々と試行錯誤したけれど全然上手くいってなかった『さくら色カルテット』と『とらぶる@すぱいらる!』がまったく読み進められるモンじゃなかったコトもあり、特出すべき描写はないけれど落ち着いて読ませてくれる本作は何だかんだで期待できそうな気がする。四月末は他にも期待作できる作品が多く、AXLの『愛しい対象の護り方』とAliceSoftの『大帝国』は確実に日程を守ってリリースされるだろうから資金及び時間のリソースがヤバく、この『relations sister×sister.』(つうかタイトル長い。rssって略したいんだけど……)の体験版がつまらなければある意味で安心だったんだけど、予想以上に良い体験版だったので大変悩ましい。普通のADVゲームが二本ならまだ良かったんだけど、三本となると一ヶ月の間でゲームをプレイできる時間を確保できそうにない上に、『大帝国』はSLGと来た。そんで更に『CAFE SOURIRE』と『キミとボクのエデンの林檎』も同日に発売予定でしょ……ヤベェよ。四月マジヤベェ……
 後から気付いたんだけど、メインライターの玉沢円って人が『さくら色カルテット』のシナリオも担当してた。うわあ、一気に不安感が増した。メーカースレでこの作家について書いていた人たちの気持ちがわかったよ。ただ『さくら色カルテット』は文章もそうだったけれど、それ以外のあらゆるものにヤバさが感じられたので、その点こちらは問題なさそうではあるが。

2011年3月14日月曜日

Frontwing『グリザイアの果実 - LE FRUIT DE LA GRISAIA -』

『グリザイアの果実』 2011.2.25発売予定
 感想を何度か書き直してみてるんだけれど、上手くまとまらなかったので簡潔に。
 攻略はみちる、幸、蒔奈、天音、由美子の順に行ったが、みちるをプレイした段階で買って良かったと感じた。これはみちる編からやったからというのもある。各ルートで十分に楽しめたのはみちる編と蒔奈編で、他の三人に関してはあまり高い評価は出来ない。
 みちる編ではキャラクターの魅力が上手く表現できていて、純粋に彼女の幸せな笑顔を見せてくれるシナリオが良かった。画と声も最上級と言って過言ではないだろう。設定は凝ってるケド、やってるコトはエロゲーのオーソドックスなパタン。それでいてここまで魅力的に描かれているのだから文句はない。蚕食される己の価値というものに耐えきれず、逃走を選択してしまったのは過去の記憶があったからだろうし、依嘱できる存在が自己の中にあったからに過ぎない。彼女の問題の本質は彼女にしか捉えることが出来ず、他者からすればミニマムな問題でも本人からすれば極めて負担であったのだろう。これは言葉だけなら容易に想像できるが細部までとなると誰も踏み込めない。イマイチ重さの解り難いシナリオではあったが、客観的にそれが観測できない主観問題であるのでそれは仕方ないことだ。みちるの存在を彼女以外の存在と共に願えたというだけで、とりあえずではあるが十分だとは思う。
 蒔奈編はみちると幸を攻略し終えて、そこまで重い展開はないだろうと甘く見ていたトコロにガツンと不意を食らった感じ。本作の中でも非常に重い内容ながら、そのストーリーの強さに負けないくらいにキャラクターに愛着を感じさせるやり方が丁寧だと感じた。親子であり師弟であり男女でありという複数の関係を形作り、互いの必要性を強く感じさせる。生活の中で自然に信頼を重ねていく様は、天音が語ったように蒔奈が自分から雄二に願いを伝えたことから始まり、さらに雄二も蒔奈の覚悟を確りと感じとって、互いにこれからの行く末に覚悟を予め決めていたからこそ描かれるものなのではないだろうか。結末ももの悲しいが、しかし蒔奈による独白、青空と海の背景、穏やかなピアノ曲、そして銃声での閉幕はその切なさを非常な程に高めてくれて、単なる善性とは違った気持ちよさを与えてくれる。これは果断だろう。明確な幸福よりも、ほんの少しだけでも悲しさややるせなさが居残っていた方が、物語の馥郁たる香を感じ取ることができるという場合の好例だ。普段のぼくなら主観で幸福であればそれは誰も文句が付けられないことであり、更にその人物の狂気が外界からの影響を拒んで強固な自己中心の世界を形成しているなら、他者がどれほど不幸だと思おうがそれは押しつけでしかないと言う。9029を継いだ蒔菜が彼女にとっての幸せを感じているなら、プレイヤーもそれを受け入れるべきだろうし、殊に普通の幸福というものが得られなくてもそれは決して不幸ではないと麻子が雄二を育てたこと、そして雄二が蒔奈を育てたことを鑑みれば尚更である。どうしても学園生活が幸せであり、それが悪意に摘み取られてしまったという前提があって、しかも蒔奈がそれぞれのEDで一言だけ語る「頭の中で騒がれると~/今日はまだ、頭は痛くない。」があの風景の中にも主観的な歪みを抱えていることがわかってしまうのがプレイヤーにも痛みを感じさせる。そしてそれがナントモ言えない読み応えをもたらしてくれる。