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2011年2月24日木曜日

FLAT『シークレットゲーム -KILLER QUEEN-DEPTH EDITION』体験版


 『CUBE』なり『SAW』なり、類似品は有名無名問わずどのジャンルにも溢れる今風サイコサスペンス。嫌いじゃないんだけど、こういうのは一過性のエンタメに過ぎないから優先度は低い。映画は前述の二作ともに低予算で作れたらしいし、鑑賞者も二時間程度しか拘束されないしでこれらの作品にとって打って付けの表現形式であると思うが、一方で無駄に時間がかかるエロゲーでやるものではないと考える。
 また、このストーリーでは恐らくではあるが、エロゲーの強みでもある可愛らしいキャラクターの魅力というものを伝えられるような場面――こういうものは多くの場合、精神的に余裕を与えられる平穏な日常に於いて表現される――は物語上存在を許容されない。こういった緊迫する状況を強いられた劇中でキャラクターを好きになるには、その人物がいかに優秀であるかが大きなウェイトを占めることになる。状況を飲み込んで、適当な行動が取れるような人間性ってコトね。話自体は別にどうとも思わない『学園黙示録』で主人公たち一行に割と好感を持てたのは、キャラクターの魅力を時として垣間見せながらも時には非情な行動によって視聴者を感心させてくれたからに相違ない。本作の主人公一行は魅力のない登場人物たちの見本市で、むしろ状況を初期の段階から理解して、生き延びるために全力で奔走する悪役めいた立場を与えられた人々の方が格好いい。敵が出てくる度に「いいぞ、こいつら(主人公たち)を殺せ!」と思ってしまうのはどうなのか。別の意味での「誠死ね」状態。
 プレイしたらしたでそれなりには楽しめるんだけど、ぼくはわざわざ本作を買うなら別のエロゲーを買うなり、同系統のシチュエーションの映画を観るなりするだろう。何よりもこの絵に金を出すのは許し難いというのもある。エロゲーの画についてはある程度諦めているんだけど、ここらが我慢の限界よ!というかそもそもアニメ作画が好きな自分の性質があんまりエロゲービジュアルを許容しかねるというオハナシでもある。とは言え先日書いた記事【不適切な放浪: 二〇〇九年二月末~五月末までに発売されるゲームについて(例外あり) (http://kentak2.blogspot.com/2011/02/blog-post_22.html)】にある作品群はいくつかを除けばかなり巧い作家が名を連ねていて、改めて考えたらエロゲービジュアルもアニメ作画とは方向性が違うだけでそれなりに洗練されているんだなあとか今更すぎなことを色々と。だからこそ逆にゲーム製作をしている方々にはもうちょっとグラフィックの重要性というのを真剣に考えて頂きたいところというコトなんだけどね。ということで本作の続編である三月発売予定の『シークレットゲーム CODE:Revise』も購入候補から惜しくも脱落となった。

2011年2月23日水曜日

Meteor『Marguerite Sphere』体験版

応援中だよ♪
 プレイしはじめて小一時間ほどの間は、一定ラインを超えられない平凡な萌えゲーかと思ったけど、やっていく間にそれなりにおもしろくなってきた。ニヤニヤできない場面も多い反面、ニヤニヤできるところでは非常にニヤニヤ度が高く、シーンとキャラクターごとにテンションの高低が激しい作風だと感じた。それにしても何という茉莉ゲー。この作品は茉莉がいるからこそであり、茉莉がいなければ惹かれることはない。妹ゲーとしては恐ろしい出来なのが体験版だけで伝わってきた。最近はアニメでも妹モノが流行ってるけど、そういうのとは比べものにならない。尤も、アニメとエロゲーだとキャラクターの魅力という点では、端から勝負にならない媒体であるとは思っているが。しかし作品スレに赴き、そこの住民の感想を目にしたときは更に慄然とさせられた。茉莉は決して『Clover Point』のよるよるに勝っているわけではなく、というよりもよるよるの方が……とする意見があった。もうなにが何だかわからない。この体験版だけでも昨今プレイしたゲームの中じゃあ最高峰の「可愛すぎて生きているのが辛い」登場人物だった茉莉を超えるというのか。果たしてスレにある戯言には過ぎないが、よるよると茉莉の共演FDなどが出たとしたら、その時プレイヤーは二度と俗界に立ち返れぬ身になってしまうのではないだろうか。つーか『クロポ』やります。続編ってワケじゃないけれど本作とは明白な繋がりがあるようだし、DL版が出てて入手に困らないみたいだし。
 なんかよくわからないレベルにエロゲー的恐怖を味わってしまったので混乱もあるが、最初に書いた通り全体として優れているわけではない。あくまでウリとなる部分が尋常ならざる凶悪さを醸し出しているだけで、他の部分は退屈する程でもないが、それらについては集中してテキストを追いかけて物語内容を理解するに留める作業となるように思える。例外としては先生が良い意味でオバカ/シモネタの役を担っており、これは登場時の平凡なただの怠惰な教師という印象を覆された。また作品内世界の重要な役割を担うであろうマーさんも魅力的。しかしマーさんについては彼女のどこに惹かれたのかが自分自身でも不明瞭で、冷静に考えれば鬱陶しいと感じられそうな造形だったことも記しておく。恐らくこれはマーさんと主人公の関係が、素顔を晒した後になって変化した為だろう。ギャップ萌えとかともまた違うんだけど……なんだろうなー、普段は悪友っぽい関係だけど真面目な場面では母や姉のように頼れるという微妙な感覚が表現できてたって感じかな。茉莉以外のヒロインについては蓮が最大の不安要素。よくある実家に反発するお嬢さまというテンプレに加えて、会話途中で眠ってしまって主人公に起こされるという一連のパタンが繰り返されるというのは読んでいてまったく楽しくない。仮に最初のプレイで茉莉√を終わらせてしまったら――いや、確実に一周目は茉莉√に入りたいと思っているのでこれは仮定を超えた話でもある――後は消化試合モードとなることが高い確実性を持って予想されるのは難しくない。全員攻略後に真ルート解放とかならまだアレかもしれないけれど。そういうネガティヴな予感を抱きつつ、それでも三月リリース作品群の中で個人的な最有力候補となるのは茉莉という核がこの作品に宿っているからだと、改めて彼女の驚異的な(主に財布の口への)破壊力について述べておく。

2011年2月22日火曜日

二〇〇九年二月末~五月末までに発売されるゲームについて(例外あり)

 いろんなゲームのいろんな覚書。当たり前だけどエロゲーオンリーだ!こう改めて一覧にすると(てーか、そろそろエクセルあたりで管理しようかと思う)三月末は『穢翼のユースティア』スルーするだけあって割と気楽だけど四月末は死ねる。

・グリザイアの果実
『グリザイアの果実』 2011.2.25発売予定
 祖父で予約済み。残念ながら発売日は休みが取れなかった。ついでに土日も休みが取れなかった。当然月曜日以降も出勤である。働きたくないでござる!攻略順はみちるが最初で由美子が最後かと。推奨攻略順とか最近はどうでもいいと思うことにした。好きな順番にやらんとダレる。蒔奈と幸も好きだけど天音も「エンジェリック・ハゥル」の件があるのでこのへんの攻略順はやっていて気が向いた順かな。

・猫撫ディストーション
WHITESOFT『猫撫ディストーション』応援中!
 いかん、『猫撫ディストーション』は体験版をやるタイミングが遅すぎた。これなら当初の予定通りにやらない方が良かったかも。祖父の予約が締め切られてるのは予想がついてたけど、祖父で予約できないとなると別に後回しでいいやというテンションになった。げっちゅ屋とメッセもそれなりなんだけど、琴子の出番がないドラマCDとかNO THANK YOU!

・あまふたサンドイッチ!!!
あまふたサンドイッチ!!!を応援しています!
 体験版出たらやろうと思ってたけどいつまで経っても出なかったから完全に忘れていたでござる。原画がINOなので少なくとも画集的価値はあるんだけど、ぶっちゃけワゴン入りしてからで問題がないくらいの認識。

・スイートロビンガール
【スイートロビンガール (http://www.chuable.net/srg/srg_top.html)】
 二月末リリース作品の中の普通に忘れてたでござる其の二。体験版第一弾が出たあたりにやろうと思ってたけど時間が取れずにいたんだった。グラフィック面はなかなか良さそうな作品だけど公式に掲載されている文章がごくフツーで、これも様子見で良いかと思われる。

・蒼穹のソレイユ~FULLMETAL EYES~
ソレイユシリーズ 第三弾!最新作『蒼穹のソレイユ~FULLMETAL EYES~』を応援しています!!
 忘れてたでござる其の三。厨二病ファンタジーとか好きだしキャラは可愛いしYOU買っちゃいなYO状態だけど《ソレイユ》シリーズやったことないんです……このネックはでかいんだぜ。

・ハチポチ
【ライアー&レイルファンディスク情報! (http://www.liar.co.jp/LRFD.html)】
 これはわからん。まだ今月末に来る筈のFC会報届いてないし。でもこういうのでフルプライスなら『蒼天のセレナリアファンディスク』みたいなのを『インガノック』とか『シャルノス』でやって欲しかったな。値段とかめちゃくちゃ良心的だったし。

・シークレットゲーム CODE:Revise
シークレットゲーム CODE:Revise
 なんかいかにもイマドキな設定だけど釣られちゃうよね、悔しいことに。無印版やってないからそっちの体験版やってからでもいいんじゃないかと思う。無印体験版やっておもしろかったら無印買って、無印体験版がつまんなかったら『CODE:Revise』の体験版にそのまま移行ってコトで。これも特典とかどーでもいいので急ぐ必要はないや。

・Cafe Sourire
Cafe Sourire
 まさすがに三月に発売すると本気で信じる程ピュアボーイじゃないって。トノ☆コンビ作品だと思ったら違うのね。トノは庭作業しなきゃいけないからこっちやってる場合じゃないのは当然のことなんだけど。『Garden』がアレだったし『ヨスガノソラ』もクソゲーだったから、あんまりお金を落としたくないメーカー。でも予約キャンペーンのDucaのCDはホスィ……

・鬼ごっこ!
ALcot最新作 『鬼ごっこ!』 応援中!
 以前の体験版感想にも書いた通り、安心できるニヤニヤ萌えゲー。エロゲーマーのみんなが『ユースティア』をプレイする中、孤独にこれをやると思うと申し訳なく思う。

・Marguerite Sphere
応援中だよ♪
 体験版プレイ中。すごい妹ゲー。『ヨスガノソラ』とか話にならない。星野真樹ってシナリオライターはレッツ背徳よるよるの『Clover Point』のライター。なるほどね。話には聞いていたが、まさかこれほどまでとは……我々は犠牲になったのだ……茉莉の犠牲にな。

・闇色のスノードロップス
『闇色のスノードロップス』応援中!
 発売日が微妙な日に延びてた。体験版待ち。タイトル的には美味しい。でも一週間でコンプできないと確実に『大帝国』にリソースを奪われて途中放棄確定。

・sisters~夏の最後の日~
【Jellyfish Official Home Page (http://www.jellyfish-pc.com/)】
 フルカラー原画集とか一見俺得な特典だけどエロシーンとか日常シーンがちょっと収録されてる原画集がついてくるからってエロアニメ買うかって自問すると……なんて冷静に考えると色々厳しい。原画集はタイムシート付きで原画がそこそこ大きく載ってそうなのがホント魅力的ではある。もしプレイするなら体験版をやった時にリップシンクロの合ってなさがすごく気になってしまったのでADVパートは音声オフだろうなあ。ゲームとして楽しむ気ゼロ。

・大帝国
『大帝国』を応援しています!
 げっちゅ屋でサントラと一緒に予約済みであります総統閣下。まずは戦乱の元凶になってしまう程の麗しさを持つマイン・フューラー、次にセーラ、カテーリン、帝の順番で攻略の予定。ドクツの平和はオレが守る!
 四月二八日はこのゲームが出るから他が完全に駆逐されてしまった。優先度も高いし時間も掛かるという凶悪な作品。

・relations sister×sister.
「relations sister×sister.」応援キャンペーンバナー
 顔だけじゃなくて身体や衣服もしっかり描ける稀有なイラストレーターで画は超イイ。アニメーター並の信頼感。ドール方面の才能もあるらしく多才すぎでしょ、かみやまねき。たまに「かみやろん、じゃなくて、えーと……」ってなってゴメンナサイ。内容は普通の萌えゲーだと思うけど体験版が出ていたので今やってるのが終わったらプレイしてみるつもり。

・愛しい対象の護り方
【愛しい対象の護り方 : TOP (http://www.axl-soft.jp/products/07/index.html)】
 めちゃくちゃすごいワケじゃないけど損をさせないゲームを作るといういつも通りのAXLクオリティ。常に正常進化するブランドなんじゃないかな。今回は、もうAXLはいいかなとスルーするつもりだったんだけど情報が公開されるごとにやっぱり欲しいと思ってしまう。四月末ってのがなければ確実に買いだった。あと汐理先生を攻略キャラにすべきだと思うんだ。何この天使。

・キミとボクとエデンの林檎
「キミとボクとエデンの林檎」公式サイトへ
 女装お嬢さまモノ。案の定主人公が一番かわいい。体験版待ちだけど既出情報見るに良い感じ。

・カミカゼ☆エクスプローラー!
【カミカゼ☆エクスプローラー!】情報ページ公開中!
 余裕のオッパイゲーで予約確定。過去作品を鑑みるに多分メディオかなあ。

・Worlds and World's end
【Worlds and World's end (http://rootnuko.jp/products/wawa/top.html)】
 体験版が出るまではまったくどうなのかわからんし、シナリオライターも割と最近台頭してきた人だから知らないけど終末思想のカルトが絡んでるってのは厨二心を刺激するフック。「大丈夫、安心して。明けない夜がないように、朝は必ず訪れるの」って台詞はクサすぎるし、物理的にもそんなワケねーじゃんと思うけど、まあゆっくり情報公開を待つことにしましょう。

・Vermilion -Bind of Blood-
【Vermilion -Bind of Blood- (http://www.light.gr.jp/light/products/vermilion/index.html)】
 五月発売なのにもう体験版公開してるとかどんだけ。lightって毎度のことだけど動き早いよね。ウザさを感じるレベルの厨二病作品だけど気にならないと言えば嘘になります。

・太陽のプロミア
『太陽のプロミア』応援バナー
 発売が延期して一安心したゲーム。ごく明るい雰囲気のファンタジー。体験版にこれといった強みがないようならハヤカワFTに逃げてよし。

・ユユカナ/めちゃ婚!/とらぶる@すぱいらる!
『ユユカナ』応援中!
めちゃ婚!3月25日発売!-onomatope*
とらぶる@すぱいらる!バナー 200px×40px
 余裕があり気が向いたら検討するかもしれない三作。ごめん、嘘。発売後に評判くらいは調べます(ひでぇ)

・英雄*戦姫
【英雄*戦姫 (http://tenco.cc/products/eiyusenki/)】
『恋姫†無双』と『大帝国』をミックスしました的な。しかし公開されたゲームシーンを見るになかなか出来が良さそうなんだけど、これだけで釣られると痛い目を見る。体験版待ち。

2011年2月21日月曜日

オーガスト『穢翼のユースティア』体験版

『穢翼のユースティア』は2011年3月25日発売予定です。
 従来からのオーガスト作品との比較とかをせずに頭ん中を空っぽにしての体験版感想。結論から言うと購入は見送りだと思うけど、それなりには楽しめました。いや、ホント、作りはすごく丁寧なんです。
 物語の作り方自体には丁寧さと親切さがあって、これこそ多くの人に支持される理由だろうと察せられる。まるで文章を書いた人の個性を意図的に抑えたように、頽廃的な世界で起こる出来事をあくまでも順序正しく、正確に、余計な装飾を施さずに描いていく。視点が変わってもそれが誰のものであるかが明白に表記されているので穿鑿をするまでもない、というかそういう気は削がれる。逆にそれら丁寧すぎるトコロが物語の先を色々と予想する楽しみに結びつかずに勿体ないことになってるようにも思える。多分、二度目の〈大崩落〉か、それ以上のカスタトロフが呼び起こされそうになったりして云々等々にはなるのではないかと思うが(特にイレーヌ√で)、作品内世界が独自の自然法則に支配されているので何が起こってもおかしくない。ヒロインたち個々人の運命よりも、この物語の舞台がどのような事件に見舞われるのかというのが気になるトコロ。でも一回起こった〈大崩落〉はそれなりに心惹かれる現象だけれど、もっと正体不明の漠然とした不安だけが残る現象を物語序盤で置いてくれるともっと興味が沸くんだけどね。『宇宙消失』とか『時間封鎖』が良い例。あとはあくまでシリアスで通すとなると、一つ一つのシーンが独立性を失って所謂お気に入りのシーンがなくなってしまうので自分としてはそういうのがないから弱いかなあ、と。えーとつまり、『グリカジ』のみちる弄り、『White』のブリジットの「完全体なのよ!」、『鬼ごっこ!』のくーにゃんin銭湯の「あり、あり」、『Marguerite Sphere』の茉莉の映画館の場面等々の名場面。エロゲーとアニメって小説に比べて全体の大筋よりも、そういう場面独自の魅力の積み重ねで楽しいと思うことが多い。何より体験版だとそういう「~が面白かった」みたいなのがあって購入を決意することがある。だから残念だけれど、ごく真面目かつフラットな書き方で序盤を紹介しただけでは物語全体を通してどんなカタチで魅了してくれるかが伝わらないんだよね。それは当然だし仕方ないんだけれど、『グリカジ』がやったシーン選択式の体験版で「エンジェリック・ハゥル」を見せてくれたようなコトをやればいいのに、って思った。ついでに初回/予約特典についてもそこまでして欲しいものがないから、別に入手を急ぐ必要を感じない。
 登場人物については、主人公やそれを取り巻く全ての人々が獣性に覆われた都市に住んでいるだけあって子供だましの理想を容易く語らないことは好感を覚える。ヒロインの中でもエリスは元娼婦で世の中のクソっぷりを妥協しながらも受け容れていくしかないことを知っていそうだし、出番は全然なかったけど〈牢獄〉の実体を知らないリシアも理想だけじゃ国政を執れないことをわかってそう。エリスはリシアが下女の真似事をしているのを見たら嫌悪しそうだし、常態では他のヒロインとも精神的に同調することは一切なさそうだけれど。良い感じで荒んでるエリスさんは主人公にベタボレながらも萌え要素がないのがある意味スゲェです。そんなんで本作は登場する人ほとんどが立場的に大人なキャラクターというのがナイス。『うたわれるもの』のハクオロとかも良かったよね。『うたわれるもの』では主人公以外の人たちも精神的に落ち着きがあって、子供たちも幼さを発散させる時にはしかるべき場所で発散させるというけじめがあった。『穢翼のユースティア』ではそういう場所の区別はなく、常に非常さが要求される。〈牢獄〉は〈インガノック〉みたいなトコロで「銅貨一枚の為に人が死ぬ」というフレーズもまんま同じ。そんな中でもユースティアだけは裏表共に学校の道徳の授業ばりにいい子ちゃんなんだけれど、本人は無自覚ながらも蘇生能力を持ってる超生命体だからあんまり説得力はないよなあ。キーアみたいなこの子は別格、という雰囲気もないし。君はそれでも生きていけるけれど他の人は一度ミスったら死亡確定なのだよ、ってカンジで素で返してしまいそう。いや、苦労人且つイイ子なんですけどね。ともかく登場人物たちはエロゲー的な可愛らしさは弱く偶像的な魅力には欠けるが、物語を読み進める上でその人格が障害になることは少ないだろうなという、前述した物語の見せ方と似た可もなく不可もなく、という造形だった。
 うーん、安定性を感じさせるも可もなく不可もなく。これが体験版の感想を一言で述べたものに相応しいな。そして体験版を実は公開とほぼ同時にやったにも関わらず感想を記すのが今更になり、またエロスケでは六十点という購入予定のゲーム群よりも高い点数を付けつつも「様子見」のグループに入れた理由でもある。イヤハヤ、扱いに困る体験版だった。多分リリース後も悩まされるんでしょうね。評価はどうだとか、やる時間を確保できるかとか、値段はどんくらい下がったかとか。贅沢な悩みでサーセン。
 それから冗談半分、本気半分だけど金髪ツインテちゃんのリシアの出番がアレだけってマジでどーゆーコトよ。見た目だけで自分を含めた一定数のオタが釣れるんだからちゃんとアピールしてくれないと困ります!

2011年2月20日日曜日

ALcot『鬼ごっこ!』体験版

ALcot最新作 『鬼ごっこ!』 応援中!
 完全にニヤニヤゲー。安全牌のお手本だなあ。テンポよく続くボケとツッコミと可愛いヒロイン、ついでにサブにはネタキャラを豊富に揃えていて悲愴感はなく、実に安心できる。フルプライスじゃなきゃ三月リリースのエロゲ情勢的に確実に買ってた。購入どうすっか迷わせてくれる。シリアスにしようと思えば簡単で、たとえば遺跡を調査するうちに過去の涜神的な事実が浮き上がってきたりとか、たとえば裏切りによる友情の破滅とかにできるんだけど、そんなコトしようものならプレイヤーから非難を雨霰のように受けることになるでしょう。そういうゲーム。
 単純に良質萌えゲーでそれ以上でもそれ以下でもなさそうだから他のゲームでやりたいものがあるなら積みタスクにするなり忘れるなりしても構わないという気楽さもいい。萌えゲーって自分的にガッツリ嵌れるキャラがいればそれだけでグッと楽しめるようになるから、人によるってのもあるんだけどね。ぼくはベッタベタで申し訳ないけどくーにゃん可愛いよドゥフフ(グッドウィルわかってるね。グッジョブ)。一応フォローで他の三人も良かったと言っておこう。くーにゃんは『猫撫』の琴子なんかとはまったくの正反対で、寧ろ自分がこういうキャラにデレっとしてるのを知人などに見られたら「君にしては珍しい」的な反応を頂戴しそうだけど、この喋りと声と性格と見た目はヤベーよ、パネーっスよ。「浦部先輩、あり――」のところで漸く僅かにデレるとか完璧なタイミング。早すぎず遅すぎずみたいな絶妙な采配。で、結局「あ、あり、あっ! あうあぅあぅ!」となってしまうバランス感覚には感動すら覚える。
 安全牌なので不満要素はなくて、それこそヒロインのみならず主人公及びサブキャラ性も愛すべきバカが勢揃い。もちろんこんな面々も真面目な話をする時もあるのだがその中に特に良かったところがあった。主人公と加奈がお互いに秘密を知ってしまった時のことだ。加奈は自身の特異な性質を気にして忌まわしい部分であると告白するけれど、そこで主人公は、人は各人どこか変なトコロがあるし(仮想的な)普通と違うのが(実際上の)普通だという風に説き、彼女を余裕で受け容れる。ぼくはここにライターの、共感できる考え方の一面が顕れているように思えた。こういう場面を見せられれば、『ハガレン』や『まどか☆マギカ』みたいな真面目な作品がやっている真面目に見せかけた非常にどうでもいいコト――肉体と心の分離等による特異性を平均的な自然状態とくらべて悲観する――をずっと引き摺ったりすることはないだろうと、要するに馬鹿馬鹿しい煩悶を見せられることはないだろうという好意的な予想できた。この意思表示があっただけでも、普通の毒にも薬にもならない学園モノから明らかに一歩抜け出した印象を受けることになった。

2011年2月19日土曜日

WHITESOFT『猫撫ディストーション』体験版

WHITESOFT『猫撫ディストーション』応援中!
 体験版やったら買っちゃいそうだし、同日発売で『グリカジ』あるしで控えようと思っていたが結局プレイしてしまった。絶版高騰したら嫌だし予約しとこうかなあ。でも二本以上の同時購入って積みゲーの原因だから控えたいんだよね……とか色々迷っております。ちなみに二本を比較した場合はやはり『グリカジ』の方が優先度が高い。会話が笑えるし、今でもみちるの弄られや蒔奈の毒舌を思い出す。こういう細部は非常に大事なのよさ。
 内容はプロバビリティなスペースの七枷家でクォンタムなファミリーがエデンに逆行なオハナシかな。ネタ的には公園のある場所に嘗てあった物理実験設備で起きた膜宇宙的イヴェントが他のエヴェレット分岐宇宙とかに干渉して云々だと思う。ゲーム内での地震や広告画(琴子が地球みたいな球体を両手の上に浮かべてる)からの推測で大穴でディックの「世界を我が手に」的な展開かも。去年末から今年のはじめ頃まで『AQUA』や『With Ribbon』みたいなSFエロゲーがあったけれど、これらは体験版の内容がクソすぎて相手をする気にもならなかったが、『猫撫』は割と普通のSFっぷりで楽しめそう。2chやエロスケでは難解だの哲学だの言われてるけど、SF小説とか前衛小説読んでれば普通に読める文章。つーか難解にしろ哲学にしろそういうコトバって本当にソレを理解した上で難解/哲学と呼ばないとタダのゴマカシに過ぎないよね。だから『Forest』はわけわかめと言っておこう。科学者や哲学者が語るような、意識されなかったりミクロすぎたり認識が物理的に不可能だったりする見えない世界の働きを生活の中に持ち込むような物語では、そうであるのだからそうであると単純に納得するのが良い。ミクロ世界の不思議な量子の特性だって、とりあえずそういうモンだと納得するしかないのと同じようなモン。
 登場人物の中では琴子が特に良いキャラをしてる。『グリカジ』の一姫ポジション。印象に残る台詞があったりするのって強い。「見えるのと観るのは別ですよ、兄さん」とか。このへんの解釈は謂わば意識のハードプロブレムだから簡単には同意できないんだけどね。ゲーム内宇宙が単に琴子が言うようなものであるというコトなんだろうからそこらへんに食い違いがあっても構わないんだけど。ともかく彼女のちょっとした言い回しとか、部屋で呼んでた本がヴィトゲンシュタインだったりとか(まあコレは狙いすぎだし、寧ろこのゲーム内容でペンローズあたり読んでいたらおもしろかったとは思うけど。琴子がOR理論disりはじめたりして)、そういうのが楽しい。どうしてメインヒロインじゃにゃいんだ。まったくギズモはとんだ泥棒猫さんですね。結衣も負けちゃいなかった。奔放な振る舞いを実際に成し遂げているように見えるところも格好良いし、分岐宇宙がある世界で絶対的な観測者になれるっぽい能力(シングルトンっぽいの)があるあたりも姉ちゃん強ぇーって感じで良い。弟を引っ張る姉という人物像が巧みに表現されていたのではないでしょうか。姉らしいというよりも、姉であるという前提があるからこそ格好良い姉として映る。
 体験版をプレイしている時に式子さんを「式子ちゃん」と呼ぶか、それとも「お母さん」と呼ぶかと迫られる選択肢は迷った。ぼくはここでは結局「お母さん」を選んだんだけどね。たかが呼び方一つだけれど対象をどう認識するかという微妙な問題だった。特定の宇宙で特定の時間から母である女性は子から母と指されるけれど、母が生まれた時には母でないかというとそうでもない。時間は関係なく式子という人間がいればそれは常に主人公の母である(「母が稚けなき頃に……」という言い方に違和感がないように)。加えてこの会話をする時の式子が他のエヴェレット分岐宇宙の存在っぽいことも気になるが、より上位の統合的な存在であることも類推できるので、母でない式子のバージョンというよりは母である式子も母でない式子も含む一連の式子という同一のゲシュタルトなんだと思う。その中に母という存在のコンポーネントが包含されるのならば、好みの問題ではあるが自分は母と呼びたいし、家族という繋がりを重視するなら妥当だろうと思った。まあどっち選んでも呼び方は「式子さん」になるんだけどさ。またこの後にギズモに言葉を覚えさせるシーンでは、公園という語の対象をどう識別するかという問題も持ち上がっていた。そこではギズモは公園という言葉を覚えてからというもの、公園にあるベンチも公園と呼ぶし公園にいる鳩も公園と呼ぶという状態になってしまう。主人公はそれらを公園とは呼べないと言うし、プレイヤーだってベンチも鳩も公園じゃないのは知ってる。となると母である式子を包含する大きな式子(ゲーム内で会話をする対象の式子)は公園とベンチの関係から鑑みるに母とは呼べなくなるのではないかと後から思ったけれど……どうでっしゃろ。それでも式子の中に母があるのに、それを認識しないのは家族として悲しいような気がする。ぼく自身シングルマザー家庭だったので母を尊敬してるわけではないけれど敬愛しているのでこれは気になる問題だった。しかし改めて思料するに母ちゃんが攻略対象のゲームってやったことあったっけな?こういうキャラクターがヒロインだと『エヴァンゲリオンANIMA』でシンジが綾波トロワに対して持っていた緊張感というか蟠りがあるように思えるぞ。ううーん、母親キャラって攻略しにくいなあ。