2011年2月19日土曜日

WHITESOFT『猫撫ディストーション』体験版

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 体験版やったら買っちゃいそうだし、同日発売で『グリカジ』あるしで控えようと思っていたが結局プレイしてしまった。絶版高騰したら嫌だし予約しとこうかなあ。でも二本以上の同時購入って積みゲーの原因だから控えたいんだよね……とか色々迷っております。ちなみに二本を比較した場合はやはり『グリカジ』の方が優先度が高い。会話が笑えるし、今でもみちるの弄られや蒔奈の毒舌を思い出す。こういう細部は非常に大事なのよさ。
 内容はプロバビリティなスペースの七枷家でクォンタムなファミリーがエデンに逆行なオハナシかな。ネタ的には公園のある場所に嘗てあった物理実験設備で起きた膜宇宙的イヴェントが他のエヴェレット分岐宇宙とかに干渉して云々だと思う。ゲーム内での地震や広告画(琴子が地球みたいな球体を両手の上に浮かべてる)からの推測で大穴でディックの「世界を我が手に」的な展開かも。去年末から今年のはじめ頃まで『AQUA』や『With Ribbon』みたいなSFエロゲーがあったけれど、これらは体験版の内容がクソすぎて相手をする気にもならなかったが、『猫撫』は割と普通のSFっぷりで楽しめそう。2chやエロスケでは難解だの哲学だの言われてるけど、SF小説とか前衛小説読んでれば普通に読める文章。つーか難解にしろ哲学にしろそういうコトバって本当にソレを理解した上で難解/哲学と呼ばないとタダのゴマカシに過ぎないよね。だから『Forest』はわけわかめと言っておこう。科学者や哲学者が語るような、意識されなかったりミクロすぎたり認識が物理的に不可能だったりする見えない世界の働きを生活の中に持ち込むような物語では、そうであるのだからそうであると単純に納得するのが良い。ミクロ世界の不思議な量子の特性だって、とりあえずそういうモンだと納得するしかないのと同じようなモン。
 登場人物の中では琴子が特に良いキャラをしてる。『グリカジ』の一姫ポジション。印象に残る台詞があったりするのって強い。「見えるのと観るのは別ですよ、兄さん」とか。このへんの解釈は謂わば意識のハードプロブレムだから簡単には同意できないんだけどね。ゲーム内宇宙が単に琴子が言うようなものであるというコトなんだろうからそこらへんに食い違いがあっても構わないんだけど。ともかく彼女のちょっとした言い回しとか、部屋で呼んでた本がヴィトゲンシュタインだったりとか(まあコレは狙いすぎだし、寧ろこのゲーム内容でペンローズあたり読んでいたらおもしろかったとは思うけど。琴子がOR理論disりはじめたりして)、そういうのが楽しい。どうしてメインヒロインじゃにゃいんだ。まったくギズモはとんだ泥棒猫さんですね。結衣も負けちゃいなかった。奔放な振る舞いを実際に成し遂げているように見えるところも格好良いし、分岐宇宙がある世界で絶対的な観測者になれるっぽい能力(シングルトンっぽいの)があるあたりも姉ちゃん強ぇーって感じで良い。弟を引っ張る姉という人物像が巧みに表現されていたのではないでしょうか。姉らしいというよりも、姉であるという前提があるからこそ格好良い姉として映る。
 体験版をプレイしている時に式子さんを「式子ちゃん」と呼ぶか、それとも「お母さん」と呼ぶかと迫られる選択肢は迷った。ぼくはここでは結局「お母さん」を選んだんだけどね。たかが呼び方一つだけれど対象をどう認識するかという微妙な問題だった。特定の宇宙で特定の時間から母である女性は子から母と指されるけれど、母が生まれた時には母でないかというとそうでもない。時間は関係なく式子という人間がいればそれは常に主人公の母である(「母が稚けなき頃に……」という言い方に違和感がないように)。加えてこの会話をする時の式子が他のエヴェレット分岐宇宙の存在っぽいことも気になるが、より上位の統合的な存在であることも類推できるので、母でない式子のバージョンというよりは母である式子も母でない式子も含む一連の式子という同一のゲシュタルトなんだと思う。その中に母という存在のコンポーネントが包含されるのならば、好みの問題ではあるが自分は母と呼びたいし、家族という繋がりを重視するなら妥当だろうと思った。まあどっち選んでも呼び方は「式子さん」になるんだけどさ。またこの後にギズモに言葉を覚えさせるシーンでは、公園という語の対象をどう識別するかという問題も持ち上がっていた。そこではギズモは公園という言葉を覚えてからというもの、公園にあるベンチも公園と呼ぶし公園にいる鳩も公園と呼ぶという状態になってしまう。主人公はそれらを公園とは呼べないと言うし、プレイヤーだってベンチも鳩も公園じゃないのは知ってる。となると母である式子を包含する大きな式子(ゲーム内で会話をする対象の式子)は公園とベンチの関係から鑑みるに母とは呼べなくなるのではないかと後から思ったけれど……どうでっしゃろ。それでも式子の中に母があるのに、それを認識しないのは家族として悲しいような気がする。ぼく自身シングルマザー家庭だったので母を尊敬してるわけではないけれど敬愛しているのでこれは気になる問題だった。しかし改めて思料するに母ちゃんが攻略対象のゲームってやったことあったっけな?こういうキャラクターがヒロインだと『エヴァンゲリオンANIMA』でシンジが綾波トロワに対して持っていた緊張感というか蟠りがあるように思えるぞ。ううーん、母親キャラって攻略しにくいなあ。

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