プレイしはじめて小一時間ほどの間は、一定ラインを超えられない平凡な萌えゲーかと思ったけど、やっていく間にそれなりにおもしろくなってきた。ニヤニヤできない場面も多い反面、ニヤニヤできるところでは非常にニヤニヤ度が高く、シーンとキャラクターごとにテンションの高低が激しい作風だと感じた。それにしても何という茉莉ゲー。この作品は茉莉がいるからこそであり、茉莉がいなければ惹かれることはない。妹ゲーとしては恐ろしい出来なのが体験版だけで伝わってきた。最近はアニメでも妹モノが流行ってるけど、そういうのとは比べものにならない。尤も、アニメとエロゲーだとキャラクターの魅力という点では、端から勝負にならない媒体であるとは思っているが。しかし作品スレに赴き、そこの住民の感想を目にしたときは更に慄然とさせられた。茉莉は決して『Clover Point』のよるよるに勝っているわけではなく、というよりもよるよるの方が……とする意見があった。もうなにが何だかわからない。この体験版だけでも昨今プレイしたゲームの中じゃあ最高峰の「可愛すぎて生きているのが辛い」登場人物だった茉莉を超えるというのか。果たしてスレにある戯言には過ぎないが、よるよると茉莉の共演FDなどが出たとしたら、その時プレイヤーは二度と俗界に立ち返れぬ身になってしまうのではないだろうか。つーか『クロポ』やります。続編ってワケじゃないけれど本作とは明白な繋がりがあるようだし、DL版が出てて入手に困らないみたいだし。
なんかよくわからないレベルにエロゲー的恐怖を味わってしまったので混乱もあるが、最初に書いた通り全体として優れているわけではない。あくまでウリとなる部分が尋常ならざる凶悪さを醸し出しているだけで、他の部分は退屈する程でもないが、それらについては集中してテキストを追いかけて物語内容を理解するに留める作業となるように思える。例外としては先生が良い意味でオバカ/シモネタの役を担っており、これは登場時の平凡なただの怠惰な教師という印象を覆された。また作品内世界の重要な役割を担うであろうマーさんも魅力的。しかしマーさんについては彼女のどこに惹かれたのかが自分自身でも不明瞭で、冷静に考えれば鬱陶しいと感じられそうな造形だったことも記しておく。恐らくこれはマーさんと主人公の関係が、素顔を晒した後になって変化した為だろう。ギャップ萌えとかともまた違うんだけど……なんだろうなー、普段は悪友っぽい関係だけど真面目な場面では母や姉のように頼れるという微妙な感覚が表現できてたって感じかな。茉莉以外のヒロインについては蓮が最大の不安要素。よくある実家に反発するお嬢さまというテンプレに加えて、会話途中で眠ってしまって主人公に起こされるという一連のパタンが繰り返されるというのは読んでいてまったく楽しくない。仮に最初のプレイで茉莉√を終わらせてしまったら――いや、確実に一周目は茉莉√に入りたいと思っているのでこれは仮定を超えた話でもある――後は消化試合モードとなることが高い確実性を持って予想されるのは難しくない。全員攻略後に真ルート解放とかならまだアレかもしれないけれど。そういうネガティヴな予感を抱きつつ、それでも三月リリース作品群の中で個人的な最有力候補となるのは茉莉という核がこの作品に宿っているからだと、改めて彼女の驚異的な(主に財布の口への)破壊力について述べておく。
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