“パイドバイパー”と呼ばれる世界規模の疫病災害から十余年……。世界は汚染された自然食料から切り離され、人工的な合成食品で維持されていた。皮肉にも人類という種は食物連鎖から解脱を手にしていた。それと同時に新たなる道徳観が構築され、少なくなった人類を維持、管理するためにすべての国民は“端末”と呼ばれる機器を身につけることが義務とされていた。ネットワークの終端が人のあるべき位置となったのだ。という筋書きではじまるこの漫画。原作はあの京極夏彦。SFエッセンスは含まれていて、上手く設定に使われているんだけれど、事件の筋は結局いつもの京極作品。ただ、そこに女の子たちの、むしろ少年的な青春物語が入り込んでくるあたり、一男子としては純粋に魅力を感じずにはいられないだろう。高度に管理された社会になっているから、一四歳と言っても現実のその年齢の子とはまた違った純粋さを持っていて、でも本能や衝動を知識として持ってるという不思議な子たちだから、すごいパワフルさがある。まあこのへんの特徴は天才少女の美緒に顕著に表面化しているけれど、他の子たちも実はみんなスゴイ。
14歳の主人公、牧野葉月が所属する“学校”では新児童保護法による管理が行われる最新の教育施設だが、その周辺で奇妙な殺人事件が起こり始める。次第にその渦中に巻き込まれてゆく葉月だが……。
そういった基本的な面白さがある上に、物語が既に小説として完成したものだから不安なく読めるし、バランスも取れてる。樋口彰彦も上手くて、高水準を保った作品だった。この樋口彰彦とい漫画家、二〇〇三年からいくつかの短編を出し、今作が本格的な連載作品としてははじめてのものらしいが、妙にこなれてるというか、おそろしいくらいベテラン然とした作風の持ち主に感じた。なんというか、企画が立ってこの作家を採用し、連載させた時点で、もう勝ちが決まっていたようなものだと思う。良い意味で出来レースで、乗せられた読者の負け――ならぬ幸運――であった。
読書メーターで上手いコト書いてるお方がいたので引用させてもらって締め。
「どうしてそんなにお耳が大きいの?」
「お前の助けてって声を聞き逃さないためだよ」
「どうしてそんなにお目々が大きいの?」
「何処にいても仲間を見つけられるためだよ」
「どうしてそんなにお口が大きいの?」
「友達を傷つけるやつを倒すためだよ」





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