なんだかんだで初日に観に行って、本編はじまってからずっと嬉しさでニヤニヤしながら観てた。とりあえず雑駁なものになっちゃうだろうけれど感想をば。ネタバレは多分ほとんどなし。
CGは使いどころによっては良かったと思う。問題は手描きならどうなっていただろうと常に想像してしまうところ。でもCGなりに良かったと思えるシーンはあって、まずこれはパンフレットの最初のページにも載ってるけど、アヴァンの仮設5号機と第3使徒が辺獄エリアからの最終封印を破って地上に出るカット――それにここでは画面が暗いからごまかしは効く――や、それから第8使徒の落下ポイントに初号機を間に合わせるために最初の緊急コース形成をしてワイドショットでエヴァが街を走るカットとかは、いやここはギリギリかな……でもまあ良かったんじゃないかと。あれくらいのロングショットならCGを使っても問題は少ないのだと思う。両方とも細かくて速い繰り返しの動きと画面内で物体が空間を移動する描写だった。だからそういった動きに特化した被写体である第8使徒がはじめてネルフの司令塔のモニタに映し出されたカットでは、抜群の効果があった。
しかしもっと被写体が近くなってしまう場合では、まあ好みの問題ではあるんだろうけど流石に手描きの方が好きだ。歪みとか省略とか癖とか、やっぱりそういう部分も逆の性質の正確さと総合して気持ちよさを与えてくれてるんじゃあないかと思うので……こういう比較は無意味だろうが、補説として書くと、つまり旧劇場版の『Air』でエヴァ弐号機と量産機が最高のスタッフで最高のアクションをする。あの時の快哉を呼び起こす作画は、こういうとアレかもしれないけれど3DCGじゃできないものだと思う。それこそアニメータが手描きにこだわって、観る側もそこから離れられない理由なんだろうし。斯様、『破』において『序』以上に挑戦的に取り組んだ3DCGはスタッフの労力を減らしたというプラグマティックな功績はあるのかもしれないけれど、『序』のような使い方でなければ正直、映像の気持ちよさは下がってしまうのかなあ……これは誹謗している訳ではない。何年も続いてる課題の一つだと思う。結局いろんなアニメで「3DCGの使い方が良かった」なんて言われることはあっても、上手い手描き作画より良かったかという冷厳な疑問を提示されると言葉に窮してしまうような状態は誰もが本当は理解してることだと思う。
それから当然A.T.フィールドの描写はたぶん全てCGになっていて、これはいろんなことができて便利な一方、ちょっと目立ちすぎなのかもしれないと思わされる。2号機と第10使徒の戦闘で「零距離ならば」って実弾銃を何カ所も撃ち込んでもフィールドに弾かれるカットなどでは目立ってたわけじゃないけれど、その前のワイドショットで画面左下から2号機が画面右上の使徒に銃撃を浴びせようとしても多段フィールドで遮られるカット。つまり「A.T.フィールドが強すぎる」って科白の1カット前と、それから第10使徒と初号機交戦時に三次元的なフィールド描写になって使徒を吹き飛ばすカットは他の部分よりフィールドの描写が目立つ。これは『序』で第6使徒についての評判がとても良かったから、そのフィードバックとしてなんだろうけれど、その使徒の時って長距離戦だったから他の被写体と一緒に画面内に入り込むことがなかった。けれど今回はその典型的CG描写をそれ以外のものと一緒に画面内に配置しなければいけなくなって、これはとても難しい部分だと思う。外連味という点ではいいけれど、古典的アニメ好きとしてはやっぱり手描き部分でもっと色々見たい。けど多分次回の『Q』ではもっとこの典型的CG描写と手描き作画のものが混じってくるんじゃないかと思う。それも上手い具合に。もちろんそのときにも違和感はぬぐい去れないだろうけれど、そこが挑戦のしどころなんだろう。
余談、あんまり関係ないけれど『咲』もそれなりに上手くCGを使ってる作品だと思う。クローズアップで牌と指先だけを映すカットは劇中何回も使われるけれど、あんまり違和感がない。少しカメラが引くと一気に違和感が出てくるけれど、あれはなかなか凄いんじゃないだろうか。
それからエヴァって他の作品よりも現象の描き方は気が利いてるなあと思うところがある。演技とかは上手いけど、京アニやボンズとそこまで差がつくかは正直ぼくにはわからない。でもこういった巨大ロボットものってスケールが大きい割に、ハリウッドのVFXフル使用の映画に観られるような事態の大きさがちゃんと画かれていることが少ないけど、エヴァはそれがちゃんと描写されてる。たとえば前述した緊急ルート形成も(ご都合すぎだろ!って突っ込みはナシで)そうだし、『序』のヤシマ作戦で地形が大きく変わってた部分や第6使徒の攻撃の衝撃波で周囲が吹き飛んでたのもそう。今回一番良いと思ったのは第8使徒の迎撃で初号機がカメラから離れたところを高速で移動した後、カメラに向かって衝撃波が迫るところ。やりすぎかもしれないけれど、こういう非日常的な物理現象がわかる描写っていうのは好き。
余談再び、現象といえば結構気になっているものがあって、『亡念のザムド』第一話の伊藤秀次がやった校舎が爆発するカット。ここで校舎は爆発して一端破片が周囲に飛び散るけど、そのあとに爆心地に向かって破片や周囲の人間が吸い込まれるような突風が起こる。まあ爆発によって空気が失われて、そのあと周囲の空気と均される自然現象のために風が吹き込んだんだろうとも思ったけどこれは違うっぽい。破片が空中で一端静止しているのでそういった現象ではないと思うし、それならすこしやり過ぎだと思う。この現象はどうなっているのか結局わからない。誰かわかる人いたら教えて下さい。余談終わり。
ということもあって、これは巨大ロボットアニメとしてすごく良くできたものだったし、ストーリィは……まあ完結してないのでなんともだけど、観てる限りでは普通に面白い。今後のロボットアニメ制作にまたエヴァの壁が立ちふさがるなあと思う一方、ぼくはこの映画を観れてとても嬉しかった。良い意味でニヤニヤしながら観られる映画なんてそうそうないし。これは十以上年前に『エヴァンゲリオン』がぼくに植え付けた衝撃のせいなんだろうけど。ということは、ぶっちゃけるともう映画を観る前に最終的な勝負は付いてるんだ。あとはもう自分の眼がどのくらい凝らせることができるかが問題なわけで。
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