2008年3月15日土曜日

異形の都市に惹かれた―赫炎のインガノック-What a beautiful people -

赫炎のインガノック - What a beautiful people -
目に見えるもののすべては真実でしかない。目に見えることのない現実のすべてなどは、ただの障害でしかない。私には。けれど、人は現実に生きるのだ。如何なる幻があらゆるものを否定して、黒色の“彼”が何を口にしようともだ。

Liar-softの21作目、『赫炎のインガノック-What a beautiful people -』の紹介。

桜井光氏の描くインガノックは魅力的だ。外界から隔離された《異形都市》インガノックに引き込まれる。
そこは既に我々が知る正常な世界ではない。雑踏の中には人間のように見える者もいれば、かつて人間の姿をしていた変異せし者たちも入り混じる。まるでスターウォーズの舞台のようだ。
しかし巡回医師ギーのアパルトメントも、不夜城・無限雑踏街も「普通」の生活観に溢れている。全貌のビジュアルもないし、直接描写されている人物も多くない。けれど、確かに人々の吐息、異形都市の空気を感じる。

その不可解だが魅力的な世界の謎に少しずつ踏み込んでく。多くの謎を現出させて物語りは終焉へと。しかして淀みはなく、自然に全てが溶け合う。

幻想的とでも表現すべきだろうか、独特のグラフィック。単体でも聴けるレベルの音楽。Liar十八番のシンプルながら必要なものは揃っているシステム。シナリオ以外の完成度も高く、全体で見ても美しくまとまっていると思う。お見事。


僕はややLiarに対して贔屓である事は自覚している。尖った作品を作るチャレンジスピリッツは本当に素晴らしい。
今回の『赫炎のインガノック-What a beautiful people -』もなかなかに尖っている。相変わらずだ。だけど、割方万人にオススメできる尖り方の作品だったと思う。これはLiar-Softフリークス・エロゲフリークスに関わらず、物語を楽しめる人にならどんな人にもオススメしたい。
ていうか過去の作品の『Forest』も『腐り姫』も人を選ぶって言うけど、物語の質が非常に高いので「普通のエロゲ」ほど人は選ばない。Liarのゲームはエロゲプレイヤーでなくとも、映画や本が好きな人ならやってみてもいいのでは?

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